脂漏性皮膚炎とは、皮脂分泌の多い部分(頭皮や顔、首、胸、背中、脇の下、へそ、股部など)に見られる慢性皮膚炎です。
皮膚の表面が赤くなり、かさついて、フケのように剥がれ落ちます。かゆみの程度は、軽いことが多いようです。
脂漏性皮膚炎は、年代ごとに次の2つに分類できます。
- 乳児脂漏性皮膚炎
新生児期〜乳児期に発症。
この時期は、胎児期のホルモン作用の影響で皮脂がたくさん分泌されることにより、脂漏性皮膚炎を発症しやすくなります。成人の場合よりも、分厚くて、黄色く脂っぽいかさぶたが頭や顔にできます。顔に赤い吹き出物ができることもあります。ほとんどの場合、乳児期を過ぎると自然に治りますが、一部ではアトピー性皮膚炎に移行することがあります。
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成人型脂漏性皮膚炎
成人、主に20代〜40代に多く発症。かさつきを伴った、厚いうろこ状の発疹ができ、皮膚が大きなフケのようにはがれ落ちます。
皮脂分泌の多い人に多く、また女性よりも男性に多く発症します。成人型は慢性化し、治りにくいのが特徴です。
この病気の原因は、よくわかっていませんが、皮脂に含まれるトリグリセリドが真菌(主にでん風菌)によって分解されることにより生じる遊離脂肪酸が、皮膚を刺激して皮膚炎を生じさせると考えられています。
乳児脂漏性皮膚炎: |
ほとんどの場合は、短期間で治癒します。
特別な治療をしなくても、毎日入浴し、患部を清潔に保つだけで軽快することが多いです。
頭皮にできた、ぶ厚いうろこ状のかさぶたは、ベビーオイルやワセリンを塗って数時間置いた後、洗い流してかさぶたを優しく取ります。
皮膚の炎症が強い場合は、ステロイド薬を数日間外用します。
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成人型脂漏性皮膚炎: |
軽症の場合/抗真菌剤を外用
中等症以上の場合/ステロイド薬を外用、抗アレルギー剤を内用します。 |
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頭皮については、ジンクピリチオン、硫化セレン、抗真菌薬であるサリチル酸や硫黄、タールなどの成分を含む薬用シャンプーを使用します。
ビタミンB2・ビタミンB6といったビタミン剤の内服も有効です。多くの場合、一旦軽快したのち治療をやめると、症状が再発します。
あきらめずに、根気よく治療を続ける必要があります。