手のひらや足裏に、無菌性(細菌感染が原因ではない)の膿疱(のうほう)が左右対称に数多くできる、
慢性の皮膚疾患です。膿疱とは、まるで水虫が化膿したかのように見える発疹で、
初めて掌蹠膿疱症を患った患者さんは水虫が悪化したと勘違いして受診することが多くあります。
1ヶ月程で治癒することもありますが、たいていは再発を繰り返し、数年にわたって悩まされることが多いです。
ほとんどの場合、原因は不明ですが、次のようなことが原因となる場合もあります。
- 喫煙〜長期間の喫煙が原因となるケースが多く見られます。
- 金属アレルギー〜体に埋め込まれた歯科用金属や整形外科の金属製人工骨などに対する金属アレルギーが原因で起こることがあります。
- 慢性扁桃腺炎、虫歯、歯肉炎〜これらの病気が悪化することで、掌蹠膿疱症を引き起こすことがあります。
掌蹠膿疱症の患者さんの10%程度に、合併症状として胸鎖肋間骨化症(胸骨と鎖骨、肋骨の間の軟骨が骨化する病気)を発症すると言われています。
胸の上部に痛みを感じる場合は、胸鎖肋間骨化症の疑いがありますので、注意が必要です。
原因が確定している掌蹠膿疱症に対しては、原因に対する治療を行います。
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喫煙が原因の場合
禁煙を行います。禁煙により、掌蹠膿疱症が治癒、もしくは軽快することが期待できます。
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金属アレルギーが原因の場合
アレルギー原因となっている金属を除去します。
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慢性扁桃腺炎、虫歯、歯肉炎が原因の場合
これらの病気を徹底的に治療することで、掌蹠膿疱症が治癒する可能性も高いです。
原因不明の掌蹠膿疱症に対しては、皮膚科的な治療を行います。
軽症の場合、患部にビタミンD3外用薬やステロイド外用薬を塗ります。これで治らない場合は、次のような全身治療を行います。
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光線療法
長波長紫外線という光を照射することで治療を行います。日焼け、白内障、皮膚癌の発生などの副作用があります。
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ビオチンの内服・注射
掌蹠膿疱症が起こっている場合、ビオチン(ビタミンの一種)が不足していることが多いため、
血中ビオチン値が上昇するようビオチンの内服・注射を行います。ビオチンはビタミンの一種ですので、副作用はないとされています。
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ビタミンA剤(チガソン)の内服